相談事例(事前対策・口頭遺言)

相談者:将来の被相続人

相談内容

以前にも同じような内容の相談事例を記載しました。今回もまた記載させて頂くのは、 この手の相談が非常に増えてきているからです。「将来自分が死んだ後の相続財産は、 残された家族が争いなく分けるなり、処分するなりうまくしてくれるだろうか?」という漠然とした不安のような感覚を、 丁度我々の年代の方が考え始めます。

ここで問題が、 考え始めてはいるが切羽詰まった程焦ってもいないということです。何をすれば良いか分からないというのが本音でしょう。 「私が死んだら相続財産はどうなるんでしょうか?」という相談者に、私が話す内容はいつも決まっています。

「あなたは、 どうされたいのですか?あなたの思い通りになるような方法を考えましょう」ということです。相続する財産の種類、 多寡により相続方法を考える必要がありますし、それが相続対策の本流のようにも感じます。


しかし私の一番は、 本人がどうしたいかです。本人のしたいように相続する。これが一番だと思います。
只、 それだと相続人によって、 相続財産に差が出た時に不満が残り「争続」となります。遺言書一番良いのでしょうが、少し敷居が高いのと(今は法務局を利用する敷居の低い方法もあります)、 亡くなった被相続人の遺言書を急に見せられても、 とまどう相続人もおら れると思います。

遺言書の文字だけでは伝わらないことが多々あります。常日頃から「自分が死んだら、 財産はこういう具合に分けてくれ」と相続人に何度となく伝えておきます。同居だとそのようなチャンスは割とあると思いますが、 離れている場合は盆や正月とか何か顔を合わす折に相続の話もするように心がけます。

あらたまって話するのが苦手な人は皆が集まって飲んでる席でも大丈夫だと私は思います。とにかく「自分はこうしたいんだ」という話を相続人にしましょう。少なくとも相続人が「親父(例えばです。被相続人のこと)はそう思っているんだ」ということを知っているのと知らないでは全然相続人の心情が違います。これで少しくらいは「争続」 が減ると思います。

ポイント

「口頭遺言」は、 遺言書のゆるいバー ジョンみたいな感じです。「こうしたいんだ」を口に出すことは大事ですが、 一番大事なのは「なぜ、 そう思うか」も一緒に伝えることです。 「なぜ、 そう思うか」を省くと、 全く意味のない「口頭遺言」となることは肝に銘じるべきです。

「口頭遺言」はこころの相続でもあります。

相談事例(相続不動産処分・遠隔地)

相談者:相続人

相談内容

相続した母親の自宅を処分したいが、一緒に暮らしたことは無い。父親が早くに亡くなり、母親が自分一人で住む自宅を建てたとの事。相続人自身が住んだことのない住宅を相続する。

実家であれば、幼少の頃住んでいたということもありますが、相続人が40代で県外で生活している時に被相続人が建てた家ですので、2~3回しか行ったことがないという状況でした。

被相続人が一人で住んでいた家ですので間取りも2DK、土地も30坪弱でした。建物自体がとても住める状態ではありませんので、建物解体後に更地として売却が一般的な処分の方法だと思います。只、両隣と後ろは家がギリギリまで建ってます。

ものすごい需要が見込めるという場所でもありませんでしたので、解体する前に隣接地所有者は勿論、近隣エリアを回って、ある程度目処がたってから解体することとしました。

この場合は、条件面での合意まで時間がかなりかかりましたが、結局はお隣の方が購入されました。 

ポイント

不動産を処分する時、近隣を訪問することは常識です。お隣の方に購入して頂くのが一番良いです。隣接者に購入して頂くのが一番良いのには色々な理由が有りますが、何といっても売不動産の状況が、それこそ一番分かっておられるということが一番の理由です。

お隣で何十年も生活されていますので、一番事情が分かっていると言っても過言ではありません。昔から「隣の土地は倍出しても買え」と良く言われます。これは、地続きになれば活用方法が増えるということです。

でもわれわれ業者にとっての一番は、購入後に買主からクレームが出ないということが一番良いことです。その不動産をいわば一番よく知っている方が購入されるわけですから(何十年もお隣で生活されていますから、我々より余程どういう不動産かということは良く知っておられます)、クレームもほぼ出ようがありません。

不動産は、本当に必要とされている方に納得のいく形で購入して頂きたいと常々思っております。

相談事例(事前対策・不動産処分)

相談者:将来の被相続人

相談内容

この被相続人になるであろうと思われる相談者は、全ての自分名義の不動産を自分が生きている内に処分したいという相談でした。
相続人は被相続人の兄弟の子供です。一般的に多い相続人は配偶者と子供です。最近自分の兄弟が相続人というケースがちょくちょくあります。

被相続人が結婚をしなかった場合にこのケースが多くなります。以前も相続した不動産を全て処分したいという相談を受けましたが、この時は相続した人(相続人)からの依頼でした。この時も自宅、倉庫、山林、畑、田と30筆以上の不動産でした。

時間は要しましたが何とか全て処分しました。やはり山林と農地が苦労しましたが、全ての不動産をお金に換え、自分が残り必要と思われるお金(市営住宅家賃・生活費他)以外は全て甥に渡しました。

被相続人名義の通帳に入金し通帳・印鑑とも甥に預けていました。遺言書も書いてあるとのことでしたので「本当にすごいですね」と感心しました。

ポイント

一番は遺言書を書いていると言われた時に相続に関しては信頼できる人だと思いました。毎年5月に来る固定資産税の納税通知書が自分が元気なうちに来ないようにしなければならないという一念で10軒以上の業者・知り合いに相談したとのことでした。つまるところ、どれだけ本気かということで結果が変わるということに改めて気付かされた事例でした。

山林、農地(それも農業振興地域内及び第1種農地でした)は時間とお金を要しましたが何とかなりました(この場合はかなり運が良かったと思います)
勿論『ご免なさい』と頭を下げるケースもありますが(その方が多いです)、まずは諦めず何でも相談してみてください。

但し、手前味噌ですが、税理士さんは税金のプロ。弁護士さんは法律のプロ。不動産のプロは、やはり【不動産屋】です。相続に詳しい信頼のおける【不動産屋】にご相談ください。

相談事例(事前対策・生前贈与)

相談者:将来の被相続人

相談内容
まず、被相続人というのは亡くなられた方のことですから将来の被相続人というのは現在は生きておられるということです。
事前対策ですから亡くなる前に対策をしましょうということです。


今まで相続財産(主に不動産)に関する相談を多数受けてきましたが、相続した後の不動産をどうするかという相続人からの相談の方が圧倒的に多いです。
でも事前対策ですから本来生きているうちにすべき対策です。
今回の相談は何が正解かが分からないというものです。


その時期が近付けば皆そうなると思います。
「どうするのが一番良いと思うか?」と聞かれた私は「一番良いかどうかは分からないが、私ならこうすると答えました」それは、自分が誰にどれくらいのもの(相続財産)を残すかをまず決める。


自分が生きている内に全て手を打つ。ただ、本当に被相続人の数だけ相続問題はありますので、あくまで相談を受けた方の場合はという条件付きです。相談内容はかなり割愛簡素化で記載しています。

ポイント

その方は奥様とお子様二人(お二人とも結婚されています)
将来は長男夫婦に定年退職した後に面倒を見てもらいたいと思っておられました。
私は生前贈与が最強の事前対策だと思っています。
死んでしまったら自分がどうこうできません(遺言書があれば少しは意に沿った形になりますが)


生きている内に相続人になるであろう人達に常々自分の意思を明確にしておく。そしてこの方の場合は、全ての不動産は奥様。現金類は奥様5。長男夫婦4。長女夫婦1。これ位の割合で生きている内に分けたらどうですかと提案しました。


長男夫婦も長女夫婦もお金が必要な時期が異なりますがその時期は必ず来ます。子供夫婦にお金を少しずつ渡し、自分の意思が働くうちに相続を終えてしまうという考え方です。相続人は以外に被相続人の本当の気持ちがどうだったかということは分かりません。
そして残された不動産をどうするかで何年も悩んでおられる方が実際におられます。

相談事例(土地相続・駐車場)

相談者:相続人

相談内容

相続人は相談者と、相談者の母親の二人。それなりの相続財産があり、税理士と相談しながら母親と相続財産を分けました。被相続人は、自宅は勿論、居住地市内及び県外にも不動産をお持ちでした。

税理士を交えた遺産分割協議は半年近くに及びました。相談者から相続した県外の土地を売却して欲しいとの連絡を頂きました(実際は、県外の私の知り合いの業者を介して私に紹介がありました)

相続人は一度もその土地を見たことが無いとのことです。用が無ければ決して珍しいことではありません。問題は、その土地を駐車場として誰かに貸しているらしいということです。

現地に行きましたら、60坪位の普通の分譲地内の土地です。駐車している車はありません。相続人に確認すると、相続が発生するまで「トットリトリコ」という方から毎月決まった額の入金があった(勿論、被相続人の通帳に)

相続が発生してから(父親が亡くなってから)、入金が途絶えている。現在も駐車場として使用しているなら、駐車代金を回収して欲しいとも頼まれました。

何度か現地に足を運びましたが駐車してある車がありませんから調べようがありません。いずれにしてもそんなに遠くの方が駐車場として借りることはないと考え「トットリ」姓の近隣のお宅を訪問しました。

日曜日の雨の日でしたので、万良く私が借りていましたという「トットリトリコ」さんご本人に出会いました。「今年は、なんかついてるなー」と正直思いました。

①いつまで駐車されていたか?
②今現在、駐車されることはあるか?
③駐車料金の滞納はないか?
等、お話をさせて頂きました。事のいきさつを了解し、相続人に早速連絡しました。早速土地を売りに出しました。
スグ買いたいというお客様が現れ、即契約。素敵なデザイナーズ住宅が建ちました。


ポイント

このケースは、自分でも万が良いと本当に思いました。「トットリトリコ」さんと、どういう賃貸借契約を結んでいるか分かりません(相続人は契約書の類は持っていません)

上記の①は、ある時期駐車料金が入金できなくなり銀行に連絡したところ、通帳名義人死亡により口座凍結のため入金できないので、賃貸人に連絡して相談して下さいと言われた。今まで聞いていた番号に電話するが、何度電話しても通じない。
②偶然にも時同じくして、家の駐車場が1台分空いたので、入金できなくなってからは、借りていた土地には一度も駐車していない。
③入金できなくなってからは、一度も駐車していないので滞納(無断駐車)もない。

以上、私の判断で、①の時点で契約解除と見做す。②③より、今後も駐車はしないことを承諾して頂き、①以降の駐車料金は勿論頂かない。ということで、全てがうまく運びました。

相続不動産に限らず、不動産に関することは、やはり不動産のプロに相談するのが、一番だと思います。あなたの困りごとの解決糸口を何とか見つける努力をいたします。

どのような不動産でも、売却に限らず活用相談でも、何でもお気軽にご相談下さい。

 

相談事例(土地相続・注意事項②)

相談者:相続人

相談内容

相続した土地の地目が「田」となっていました。現況は、団地の一画の荒地(雑種地)です。これもそのままでは売ることができません。地目が「田」ですので、一般の方は購入できません。

通常このような場合は現況は農地ではないという非農地の「証明書」をもらいます(一般的には、行政書士に依頼します)。この「証明書」は農業委員会から頂くのですが、1ケ月に1回しか申請を受け付けていません。毎月20日締め切りです。

この締め切りまでに申請して、翌月中旬に「証明書」が頂けます。
「証明書」には、『上記土地は、現況が農地法第2条に規定する農地以外のものであるので、同法の適用を受けない土地であることを証明する。』と記載されています。
この後、地目を「田」から「雑種地」に変更します。約半月位手続きがかかります。地目が「雑種地」となって初めて購入者が住宅等建築物を建てることができます。

一連の手続きに約2ケ月かかるということになります。ここまでの手続きでも大変そうですが、全て士業の方がやってくださいます。
今回の相続土地はまだ問題があります。
前面道路が、位置指定道路となっていました。位置指定道路とは、建築基準法上の道路ですので、その道路に2m以上接していれば、建物を建てることができます。ここまででしたらまだ良いのですが、相続した土地には水道管が入っていません。前面道路が市道であれば、水道管引込の市の許可が下りないということはまず考えられません。地目は公衆用道路でも個人の私道です(しかも4人の名義です)4人とも「今までも家を建てるのに、あなたの判が必要ということで何人も来られた」ということで、快く『私道通行・掘削承諾書』に署名捺印をして下さいました。
その後、スタイリッシュな新築住宅が建ちました。

ポイント

今回のケースは相続不動産に限らず、どのような土地でも地目、現況、前面道路、給排水状況は、必ず確認しなければならないという基本的な問題です。
納税通知書(課税明細書)には、その土地の地目は「宅地」と記載され、住宅用地・種類の欄には「非住宅用地」と記載されています。
税金は、しっかり払っていた(というより取られていた)ということです。
大抵、どのような税金も取られる税金は黙っていても調べて取られます。頂ける(得する)税金は、自分で調べて申告して初めて頂ける(還ってくる)というケースがほとんどです(税務徴収関係のお仕事をされておられる方には、申し訳ございません)。特に今回のコロナ禍では様々な補助金制度がありますが、これも自分で調べて自分で手続きしなければ誰もしてくれません。税制度を知ることは、大げさでなく自分の生活を守ることに直結しています。

相談事例(土地相続・注意事項①)

相談者:相続人

相談内容

相続した土地が遠方なので使わないし処分したい。

古い物置が建っている(未登記)。立地は良くも悪くも無いといった感じ。
早く売れるにこしたことはないが、スグお金が必要ということもなく、売れた時に売れれば良い位に考えておられました。

物置の解体費用は、購入者が負担するという条件で早速売りに出しました。
物置は簡単に解体できそうな4坪位の木造です。
相続人は、遠方のため相続した時に初めてその土地を見ました。
買主候補が出てきた時、相続人の伯父さんが物置の固定資産税を払っていることが判明しました。
物置の所有権は伯父さんにあることになります。
相続人が、このまま第三者に販売することはできません。
伯父さんに話をして、相続人が自費で解体をし、市役所に「家屋滅失申告書」を提出して更地にして売り出しました。
所有者の欄には伯父さんに署名捺印を頂きました。

遠方の土地ですし、相続人同士ならそんな話も、もっと早く出たのかもしれません。
伯父さんは勿論相続人ではありませんし、めったに会いもしませんので、伯父さんがなぜ固定資産税を払い続けていたのかも不明です。
更地にしたら見栄えも良くなり早期販売となりました。

ポイント

未登記の建物、特に物置等は相続を受けたのだから相続人が勝手に解体すればよいと思いがちです。
相続土地内に建物がある場合は登記がしてあるかどうか、税金を誰かが払っているような可能性があるか等、家族・親類(特に年配者)・納税課に必ず確認しなければなりません。逆に、以前建物が建っていても、今は建っていないが滅失登記がなされていないケースもあります。これも、そのまま第三者に売ると後で面倒な事になります。

相続した不動産は、今までの経緯が中々わかり難いものです。売却の場合は、専門家に相談することも必要です。

相談事例(認知症・事前対策)

相談者:相続人(相談時は相続未発生)

相談内容

実家と隣接の土地2筆を相続予定。
3年前から被相続人が介護施設に入っているため現在は空き家。
相続人は県外のため実家の管理が大変であり、かつ被相続人の認知症への進行(相談時は認知症では無い)も不安材料。

販売中の中古住宅及び隣接土地がいつ売れるかが不明なため、それが一番の心配の種。

名義は土地3筆は全て被相続人。
実家他建物は全て相続人及び相続人の妻が各々持分1/2で所有。

買主が見つかった時点で、司法書士面談により判断能力無しと判断されれば、売買が出来ない。

認知症になると「法定後見制度」を利用します。
後見人は、「財産管理」と「身上監護」を行います。
後見人がつくと、不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要となります。

許可さえ取れば良いんだと思われるかもしれませんが、これがそう簡単ではありません。

そもそも後見人は、その人(今回の場合、認知症になった人)の財産を守る等、その人にとって有益な行為をする事が大原則です。

裁判所は、売却が有益かどうかを判断しますので、売却してはいけませんという結論になる場合も多いにあり得ます。

現在の被相続人の状態が認知症になるかならないかの手前位の状態との事でしたので、販売委託を受けた私も認知症になる前に早く売らなければならないとプレッシャーを感じていました。そこで、認知症になる前の事前対策を相続人と相談しました。

ポイント

認知症になると、正直不動産の処分は相続が発生してからになるケースがほとんどです。今回の被相続人は要介護3でした。

相続人にそんなに評価が高い土地でもないし、今の内に贈与してもらう話をしました。司法書士が、本人(被相続人になる方)と面談して判断するとの事でしたので、どんなものかお聞きしました。

要介護4だとまず無理。要介護3だと面談してみないと何とも言えないとの事でした。

司法書士に介護施設に出向いて頂き面談をして頂きました。
判断能力ありと判断して頂き、その場で贈与書類に署名捺印頂きました。贈与税は税務署の無料税務相談で相談してもらい、相続時精算課税制度を利用して頂き、とりあえずの贈与税は払わなくて良い事となりました。

これでいつ売れても良いという状態になりましたが、皮肉にも(うれしい誤算ですが)、間もなく買い手がつきました。

被相続人の認知症が気になるなら、贈与も有効な事前対策かと思われます。
勿論、売却金は介護施設の費用として現在も使っておられます。

相談事例(相続土地・不存在の建物が登記されている)

相談者:相続人

相談内容

相続した土地(現況荒地)が不要なため相続人が売却する事になりました。
被相続人の不動産売買契約書(30年以上も前の手書きの契約書)も残っており、何より既に相続人に名義変更もされているので何の問題も無く販売活動に入ることで相続人と話をしました。

別に相続した家屋の地続きの土地でしたので、何気なく「以前は畑でもされていたのですか」と尋ねると、

「前所有者が倉庫を建てて使用していた。その倉庫を壊して更地となったものを、被相続人が購入し畑として使用していた。被相続人も高齢となり10年以上ほってあるので、現在は荒地の状態。」

との事。
もしやと思い、その土地上の建物謄本を取ると、前土地所有者の名義で建物謄本が存在。実際には建物が建っていないのに、謄本上は建物が存在することになっていました。

固定資産税課税台帳も預かっていましたが、土地しか表記されていませんでした。
売却するためには、建物滅失登記をしなければなりません。滅失登記は建物登記名義人がしなければなりません。

しかし前所有者(被相続人は面識無し)がどこに住んでいるのか今はもう分からないとの事でした(売買契約書の住所には住んでいないとの事)。被相続人が土地所有者ですので、現に建物は建っていないので滅失登記をしたい旨、法務局に申請してもらいました。
約1ヶ月後に滅失登記が完了し、売却できる状態となりました。

ポイント

住宅団地に建っている建物と土地の売却であれば、まずこのような事は無いと思われます。
固定資産税の日割り計算、移転登記費用の概算額を買主様に伝えるため、課税台帳もコピーして頂き突き合わせします。

しかし、このケースのようにかなり古い家屋の地続きの土地でわざわざ購入している(売買契約書が存在する)場合は、以前はどのような状態であったか確認すべきです。
念のため法務局でこの土地上に登記されている建物があるかどうか確認すべきです。
滅失登記は土地家屋調査士に依頼します。しかし、他人(相続人の名義では無い)の建物の滅失ですので、法務局もかなり慎重になります。

実務的には、法務局は建物登記名義人に郵便を送ります。これがあて所(あて名)不明で帰ってくれば、とりあえず登記簿上の住所に登記名義人(前所有者)がいないという事になります。
又相続した土地に実際建物が建っていない確認もします。このケースは前所有者の住所が法務局が訪問できる範囲エリアだったので、実際に謄本上の住所地に行かれたようです。

私も前所有者の住所地に行きましたが、完全な空き家というより数ヶ月に1度帰ってくるようにも感じました。郵便物はありませんでした。
非常に微妙な感じでしたので、法務局もかなり時間を掛けたのだと思われます。土地だけ売買契約して新所有者に名義変更後、何かの機会に全然知らない人の建物が謄本上存在する事がわかれば、何らかのトラブルになっていたと思われます。

建物が建っているのに未登記という建物もありますが、逆に建物を解体したのに滅失登記がされていない土地を、土地のみ購入した(今回の被相続人のケース)という場合もあります。

相談事例(現住居処分・贈与による事前対策)

相談者:被相続人(相談時相続未発生)

相談内容

86歳のお母様が、亡くなられた配偶者の自宅(新築時から同居)を相続されてお一人で住まわれていました。自分一人での生活は健康面等不安があるので、自宅を売却して老人ホームに入居されたいとの相談でした。

建物は築40年近く経っていましたが、そこそこ立地条件は良く、ほぼ希望値で売却できました。居住用財産の3,000万円特別控除で譲渡所得の税額は、控除されました。お母様は次男と孫(亡くなった長男の子供三人)に自分が元気なうちに売却益の一部をあげたいという気持ちがありました。

もともとある程度現金をお持ちの方でしたので、当時はまだ出始めだったサ高住に入居されました。次男さんは県外にお住まいでしたが自宅売却時には帰省して頂き、契約にも立会って頂きました。問題は長男の子供三人ですが、離婚して奥様と子供三人が自宅(当初同居していた)を出て行った後に、長男は亡くなっています。元奥様は、今どこに住んでいるかも分からないとの事でした。

勿論相続が発生しているわけではありませんから、お母様の次男と離婚した長男の子供(お母様の孫)で、お金を分ける必要はまだありません。
お母様は、自分が亡くなった後で、次男と孫達が争族をする可能性があると考えていました。一般的に考えてもそうなる可能性は大です。今ある程度の贈与を今後相続人になるであろう子供と孫にしておきたいと考えました。そして、次男と孫達と話ができるのも自分だけという思いもありました。
結果的には次男と孫三人に相応の現金を贈与した事を、後日入居されているサ高住でお聞きしました。

ポイント

離婚した長男の元奥様がどこにおられるかは全く分かりませんでした。元奥様の妹さんの勤務先だけはお母様が覚えておられましたので、そこに出向き要件を伝え、元奥様と連絡を取っても良いかを確認頂きました。連絡許可となり私がお母様の代理人として元奥様とお会いしました。

お母様がお孫さん三人に幾許かの現金を贈与したい旨、お話しました。振込口座をお教え頂きお母様にお届けしました。お母様がお亡くなりになれば、同じ四人が相続人となります。

その場合、初めて四人が会われるのと、今回の贈与があった事の後で会われるのでは、相続の進み方も随分変わると思います。今回の様に、贈与する機会があれば、相続前に贈与してワンクッションおかれるのも、実際に起こった時の相続を少しスムーズにする事前対策にもなったかなと思いました。

私自身どこまで自分がかかわっても良いのか分かりませんし、どこから様々な士業法に抵触するのか分かりませんでした。
ただお母様が自分が元気で、多少なりとも金銭的余裕があるうちに、子供と孫に、平等の愛情表現として金銭贈与をされたいという気持ちだけは、分かりました。

あれから約10年経ちました。まだ相続が発生していない事を祈るばかりです。たまにお母様のお顔が目に浮かんできます。