相談者:相続人
相談内容
父親が亡くなって20年以上経っている。相談者は、各地を転勤で転々としたが、東京に中古マンションを買い、母親と二人暮らし(相談者年金暮らし。
子供は別のところにそれぞれ居住)。自分の他に、姉と妹がいる。姉も妹も県外に嫁いでいて、家族で育った実家(父親が亡くなってから、ずっと空家で築60年経過)を処分したいと相談有り。
この場合、相続人は亡くなっている父親の妻(相談者の母親)と相談者、姉、妹の4人となります。
早速、謄本を取り、現在の所有者を確認します。登記簿謄本を確認して分かったのですが、土地、建物共かなり前に姉に相続されており、その後相談者に贈与されていました。
本来ですと、非常に段取り良くスグ売買できる状況です。現地を確認しますと、建物は1棟ですが、何度か増築されているようです。
そこで、固定資産税をいくら払っているかの納税通知書を見せて頂きました。すると、土地は1筆ですが、建物が2棟建っていることになっていました(外観からだと1棟の建物ですが、税金上は2棟別々の建物となっています)。
法務局にも「この地番上に登記された建物は何棟ありますか?家屋番号は何番ですか?」と電話確認しました。法務局は、電話でその土地に登記されている建物が何棟あるか?また家屋番号は何番か等、親切に教えてくれます。
漏れていた1棟の建物謄本を取ると、亡くなった父親名義のままです。相談者に相続登記をしてもらわなければなりませんが、そのためには、母親、姉、妹の3名の「相続放棄」が必要です。
母親と姉は問題ないのですが、その時初めて、妹さんは亡くなっておられることを知りました。妹さんには子供が二人います(甥二人が相続人となります)。
相談者と甥二人は、何かの親族行事の時、また特段の用が無くても祖母のご機嫌伺いに来るような間柄でしたのでスムースに「相続放棄」をして頂きました。通常、これらのことは、司法書士に依頼します。
売却も何とか出来ました。相談者が相続した「不動産」は価値のない負の遺産、いわゆる「負動産」でしたが、少なくとも相談者は今後この「負動産」の管理で頭を悩ませることは無くなりました。
ポイント
これが「負動産」ではなく、ある程度価値のある「不動産」であっても、結果は同じくスムースに全員が「相続放棄」をしてくれたと思います。皆さんも自分自身に置き換えて考えてみてください。
相続人に兄弟姉妹がいる可能性は非常に高いです。普段から兄弟姉妹が仲が良ければ、その子供達もたいていは、仲が良いものです。
両親が、「兄弟、仲良くしなさい」と言うのは、案外こういう時のためかもしれません。私も、二人の愚息に「兄弟、仲良くせぇよ」というのは今更ですので、「老後の面倒は二人でみてくれよ。
長男も次男もない。近い、遠いも無いだで」と、仲良くを二人でに置き換えて言っています。相続人か被相続人にいつ誰がなるかは、分かりません。
家族親族が仲良くしておいて何かが損になる可能性は、何も無いと思います。仲が悪ければ、「相続」ではなく、「争族」になる可能性はあります。