コラム(賃貸住宅経営)

私がものすごぐ懇意にさせて頂いているアパート大家さんがおられます。

築30数年の2DK、10世帯1棟の大家さんです。立地は良い方です。
ご自身がお持ちの土地にアパートを建築されました。
当初は、管理会社に管理してもらってたようですが、現在はご自身で管理されています。

賃貸住宅の書籍の中には「空室対策のポイント」を解説しているものも多く見受けられます。
空室は、大家さんの一番の頭痛の種です。それこそ夜も眠れないという状況になります。

この大家さんからお聞きした話は、「どうして空室を埋めたか」ではなく「どうして空室にならないようにしたか」でした。

確かにまずは空室にならない対策を講じておくことの方が良いと思います。
その大家さんは、長く入居して頂いているお客様の家賃は、自ら値下げしておられます。

空室になったので、家賃値下げは聞いたことがありますが、入居されているのに家賃値下げは、まさに目から鱗でした。築15年目位からそうされています。

元々6万円位の家賃設定でしたが、現在は3万数千円の方もいらっしゃいます。30数年間ほぼ満室です。入居されている方も長く住めば家賃が安くなるのですから、他のアパートには移られません。

皆様かなり長期で入居されています。今ではそういうアパートも結構あるのかもしれませんが、私は当時、これこそ経営者と思いました。

3ヶ月、2部屋空室になった家賃収入は永久に取り戻せません。
3千円家賃を下げても、ずっと入居頂いた方が、結果的にはお得ですし、精神衛生上も健全です。

さすが管理会社を外してご自身で管理されている方だと感心しました。

一度だけ内部、外部リフォームされましたが、現在は極力お金をかけないように建物が持つまで稼いでもらうという感じです。

コラム(賃貸住宅経営)

最近、30代、40代の比較的お若い方から賃貸住宅経営のご相談をよく受けます。

本音を言えば、大家業こそが不動産業者の目標の一つです(勿論全てではないですが)ということになります。
不動産業を営むからには借家かアパートの一つも所有したいというのが、偽らざるところです。

大家業の根底には、超高齢化社会の年金不安、長生きリスクなどがあるようです。若いうちからそういうことを考えるのは、本当に素晴らしいことだと思います。

もう一方で、借家・アパートを処分されておられる方がおられます。
これは60代~80代のいわゆる高齢者の方です。

この方々は、30代の頃に賃貸住宅を所有され、そろそろ元も取れ、管理も管理会社があるとはいえ、億劫になっている年代の方々です。建物も何かとメンテナンスでお金がかかる頃です。

終活等考え、遺産分割も古い賃貸住宅より、現金で子供たちに分けた方が心配がないという思いもあるようです。
このような環境を考えると賃貸住宅経営の需要と供給が一致するように感じます。

賃貸住宅に限らずマイホームでも土地・建物共選択肢はかなり広がっています。
空き家もどんどん増えますから中古住宅の供給が極端に減ることは考えにくいです。

問題は、建物の質(築年数・デザイン・ペット可・女性専用等の特徴)と立地だと思いますが、立地の方が比重ははるかに重いです。

賃貸住宅は立地が全てと言われるくらいです。立地が良いと当然購入価格も高くなります。

辺鄙な場所ですと価格は勿論安いです(賃貸住宅として成り立たない場合は論外です)。
土地の決定方法としては、賃貸住宅が朽ちて賃貸住宅で無くなった時に建物を解体しても土地だけで十分販売が可能かどうかで考えられると良いと思います。

賃貸住宅に掘り出し物はまず有りませんので、購入後にご自身の工夫をプラスすれば、十分勝算があると思われる中古賃貸住宅を探されて大家さんになりましょう。

ご自身でどのような賃貸住宅にされたいかをずっと考えられることは、大変重要なことだと思います。大家さんは、会社の社長同様、経営者なのですから。

相談事例(認知症・事前対策)

相談者:相続人(相談時は相続未発生)

相談内容

実家と隣接の土地2筆を相続予定。
3年前から被相続人が介護施設に入っているため現在は空き家。
相続人は県外のため実家の管理が大変であり、かつ被相続人の認知症への進行(相談時は認知症では無い)も不安材料。

販売中の中古住宅及び隣接土地がいつ売れるかが不明なため、それが一番の心配の種。

名義は土地3筆は全て被相続人。
実家他建物は全て相続人及び相続人の妻が各々持分1/2で所有。

買主が見つかった時点で、司法書士面談により判断能力無しと判断されれば、売買が出来ない。

認知症になると「法定後見制度」を利用します。
後見人は、「財産管理」と「身上監護」を行います。
後見人がつくと、不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要となります。

許可さえ取れば良いんだと思われるかもしれませんが、これがそう簡単ではありません。

そもそも後見人は、その人(今回の場合、認知症になった人)の財産を守る等、その人にとって有益な行為をする事が大原則です。

裁判所は、売却が有益かどうかを判断しますので、売却してはいけませんという結論になる場合も多いにあり得ます。

現在の被相続人の状態が認知症になるかならないかの手前位の状態との事でしたので、販売委託を受けた私も認知症になる前に早く売らなければならないとプレッシャーを感じていました。そこで、認知症になる前の事前対策を相続人と相談しました。

ポイント

認知症になると、正直不動産の処分は相続が発生してからになるケースがほとんどです。今回の被相続人は要介護3でした。

相続人にそんなに評価が高い土地でもないし、今の内に贈与してもらう話をしました。司法書士が、本人(被相続人になる方)と面談して判断するとの事でしたので、どんなものかお聞きしました。

要介護4だとまず無理。要介護3だと面談してみないと何とも言えないとの事でした。

司法書士に介護施設に出向いて頂き面談をして頂きました。
判断能力ありと判断して頂き、その場で贈与書類に署名捺印頂きました。贈与税は税務署の無料税務相談で相談してもらい、相続時精算課税制度を利用して頂き、とりあえずの贈与税は払わなくて良い事となりました。

これでいつ売れても良いという状態になりましたが、皮肉にも(うれしい誤算ですが)、間もなく買い手がつきました。

被相続人の認知症が気になるなら、贈与も有効な事前対策かと思われます。
勿論、売却金は介護施設の費用として現在も使っておられます。

コラム(認知症サポーター)

皆さんは、私がいつも左手首につけているオレンジ色のゴム製リングは、何のリングか分かりますか?これはそのものずばり『オレンジリング』と言います。

この『オレンジリング』は、「認知症の人を応援します」という意思を示す「目印」で、『オレンジリング』をしている人を認知症サポーターと呼びます。

認知症サポーターは、なにか特別なことをする人ではありません。
認知症について正しく理解し、偏見を持たず、認知症の人や家族に対して暖かい目で見守ることが、認知症サポーターのスタートです。

認知症サポーターは、認知症の人やその家族の「応援者」です。
認知症の基礎を学ぶ講座が「認知症サポーター養成講座」です。県又は市町村が実施する90分の講座です。

皆さんも是非この「認知症サポーター養成講座」を受講し、『オレンジリング』を身につけて下さい。

認知症を理解し、認知症の人や家族を見守る、認知症サポーターが一人でも増えれば、安心して暮らせるまちを、みんなで作っていくことができると思います。

“いつまでもあなたが好きな町で暮らし続けるために”

コラム(高齢者)

現在では、一般的に65歳以上の方を高齢者と呼びます。
ただ、今の65歳の方は、まだお勤めの方、ボランティア・仲間との趣味の会に参加の方、もう一度学び直しをされる方と、行動的で元気な方も多数いらっしゃいます。
いまや社会全体が人生100年時代の大合唱で、国民は全員最低70歳まで働いて下さいというムードです。

内閣府の意識調査でも、60歳以上の方に高齢者とは何歳からかを尋ねたところ、男性70歳以上、女性75歳以上が最も多かったという結果だそうです。
私も65歳以上の方と話をする機会が仕事柄多いですが、とても高齢者というイメージではありません。

日本老齢学会は、高齢者の定義を、75歳以上にしようと提言しています。私は現在60歳ですが、最低でも75歳(できれば生涯現役)まで働くつもりです。
決して仕事好きではありませんが、やはり社会と係わりたいですし、気分だけは40歳台です。

何かの調査で今の75歳は20年前の65歳の身体能力があると聞きました。昔に比べ、10歳も若返っています。
このようなデータだけを見ると、私も含めて何となく高齢者でも働かなきゃならない。生涯現役で頑張らなきゃならないと思われる方も増えると思います。
でもこれは、やはり個人の価値観の問題で、仕事が勿論最優先でもありませんし、仕事以上にその人にとって大切なことがあれば、それを優先させるべきです。

又、さまざまの事情で働きたくても働けない方もいらっしゃると思います。私個人は、39年間のサラリーマン生活には満足しています。
しかしそれ以上に自分で事業をしてみたい気持ちの方が強かったです。

今こうして還暦起業家としてスタートしましたが、今後の極端な少子高齢化、又自分自身が経験している高齢者一歩手前自営業の現実、相続、介護、終活、空き家、墓じまい等シニアが直面するであろう現実を、今後私なりに述べさせて頂きます。

コラム(民法改正)

民法の一部を改正する法律が、令和2年4月1日施工されます(平成29年6月2日公布)。

様々な改正がなされていますが、そもそもの改正の趣旨は、
①社会・経済の変化に対応させる
②一般国民に分かりやすいものにする
③確率した判例法理を明文化する、
以上3点です。

現行法では、医師診療報酬3年、弁護士報酬2年、宿泊料・飲食料1年等、業種別の短期消滅時効が定められています。これは非常に面倒で不便に感じます。

改正法では、消滅時効の期間について、「権利を行使することができる時から10年間」に加えて、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間」を新たに設けました。これなら覚えやすいです。

但し、行使することができる時から10年後に行使することができることを知った場合は、そこから5年間の最長15年間ではありません。
いずれか早い方で時効が完成しますので、「行使することができる時から10年間」の10年間が最長となります。

いずれにしても、何らかの債権を有している場合は、早めに(覚えているうちに)権利行使をしましょう。
債権にかかわらず、自分にとって得なことは、大抵の場合自分で行動を起こさないと、債権の行使が出来ません。そろそろ時効ですよとは、誰も教えてくれません。

弊社の年末年始の休業期間

弊社は下記の期間、年末年始休業とさせていただきます。

令和元年12月28日(土)~令和2年1月5日(日)

メールでのお問い合わせは休業中も受け付けを行っていますが、
お問い合わせのご回答は1月6日(月)以降となります。
あらかじめご了承くださいませ。

相談事例(相続土地・不存在の建物が登記されている)

相談者:相続人

相談内容

相続した土地(現況荒地)が不要なため相続人が売却する事になりました。
被相続人の不動産売買契約書(30年以上も前の手書きの契約書)も残っており、何より既に相続人に名義変更もされているので何の問題も無く販売活動に入ることで相続人と話をしました。

別に相続した家屋の地続きの土地でしたので、何気なく「以前は畑でもされていたのですか」と尋ねると、

「前所有者が倉庫を建てて使用していた。その倉庫を壊して更地となったものを、被相続人が購入し畑として使用していた。被相続人も高齢となり10年以上ほってあるので、現在は荒地の状態。」

との事。
もしやと思い、その土地上の建物謄本を取ると、前土地所有者の名義で建物謄本が存在。実際には建物が建っていないのに、謄本上は建物が存在することになっていました。

固定資産税課税台帳も預かっていましたが、土地しか表記されていませんでした。
売却するためには、建物滅失登記をしなければなりません。滅失登記は建物登記名義人がしなければなりません。

しかし前所有者(被相続人は面識無し)がどこに住んでいるのか今はもう分からないとの事でした(売買契約書の住所には住んでいないとの事)。被相続人が土地所有者ですので、現に建物は建っていないので滅失登記をしたい旨、法務局に申請してもらいました。
約1ヶ月後に滅失登記が完了し、売却できる状態となりました。

ポイント

住宅団地に建っている建物と土地の売却であれば、まずこのような事は無いと思われます。
固定資産税の日割り計算、移転登記費用の概算額を買主様に伝えるため、課税台帳もコピーして頂き突き合わせします。

しかし、このケースのようにかなり古い家屋の地続きの土地でわざわざ購入している(売買契約書が存在する)場合は、以前はどのような状態であったか確認すべきです。
念のため法務局でこの土地上に登記されている建物があるかどうか確認すべきです。
滅失登記は土地家屋調査士に依頼します。しかし、他人(相続人の名義では無い)の建物の滅失ですので、法務局もかなり慎重になります。

実務的には、法務局は建物登記名義人に郵便を送ります。これがあて所(あて名)不明で帰ってくれば、とりあえず登記簿上の住所に登記名義人(前所有者)がいないという事になります。
又相続した土地に実際建物が建っていない確認もします。このケースは前所有者の住所が法務局が訪問できる範囲エリアだったので、実際に謄本上の住所地に行かれたようです。

私も前所有者の住所地に行きましたが、完全な空き家というより数ヶ月に1度帰ってくるようにも感じました。郵便物はありませんでした。
非常に微妙な感じでしたので、法務局もかなり時間を掛けたのだと思われます。土地だけ売買契約して新所有者に名義変更後、何かの機会に全然知らない人の建物が謄本上存在する事がわかれば、何らかのトラブルになっていたと思われます。

建物が建っているのに未登記という建物もありますが、逆に建物を解体したのに滅失登記がされていない土地を、土地のみ購入した(今回の被相続人のケース)という場合もあります。

ほむさぽ岩美通信のご案内

弊社は、ホームサポートグループ会員です。

超高齢化と少子化、人口減少が進む鳥取県。様々な問題を抱える鳥取県で、宮脇不動産が不動産業者として
必要だと感じる事が3点あります。

①広域生活圏から、地域に密着した生活圏の再生
②コミュニティーの復活
③各業界の縦割り意識から、横連帯意識へ考え方を転換

以上3点を目標将来像として不動産業を継続し、他業種の方々とも連携を取りながら、「住み慣れた地域で高齢者も持続可能なまちづくり」。宮脇不動産はこの目標を実現するための不動産業者です。

目標将来像の実現に向けて、(ホームサポートグループ本部:ほむさぽ松江)の方々の協力を頂きながら、主としてミドル&シニア編の情報を発信しております。

サンプルとして、ほむさぽ岩美通信2019年10月号を掲載しております。
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『いつまでもあなたが好きな町で暮らし続けるために』

ほむさぽ岩美通信2019年10月号