相談事例(相続土地・不存在の建物が登記されている)

相談者:相続人

相談内容

相続した土地(現況荒地)が不要なため相続人が売却する事になりました。
被相続人の不動産売買契約書(30年以上も前の手書きの契約書)も残っており、何より既に相続人に名義変更もされているので何の問題も無く販売活動に入ることで相続人と話をしました。

別に相続した家屋の地続きの土地でしたので、何気なく「以前は畑でもされていたのですか」と尋ねると、

「前所有者が倉庫を建てて使用していた。その倉庫を壊して更地となったものを、被相続人が購入し畑として使用していた。被相続人も高齢となり10年以上ほってあるので、現在は荒地の状態。」

との事。
もしやと思い、その土地上の建物謄本を取ると、前土地所有者の名義で建物謄本が存在。実際には建物が建っていないのに、謄本上は建物が存在することになっていました。

固定資産税課税台帳も預かっていましたが、土地しか表記されていませんでした。
売却するためには、建物滅失登記をしなければなりません。滅失登記は建物登記名義人がしなければなりません。

しかし前所有者(被相続人は面識無し)がどこに住んでいるのか今はもう分からないとの事でした(売買契約書の住所には住んでいないとの事)。被相続人が土地所有者ですので、現に建物は建っていないので滅失登記をしたい旨、法務局に申請してもらいました。
約1ヶ月後に滅失登記が完了し、売却できる状態となりました。

ポイント

住宅団地に建っている建物と土地の売却であれば、まずこのような事は無いと思われます。
固定資産税の日割り計算、移転登記費用の概算額を買主様に伝えるため、課税台帳もコピーして頂き突き合わせします。

しかし、このケースのようにかなり古い家屋の地続きの土地でわざわざ購入している(売買契約書が存在する)場合は、以前はどのような状態であったか確認すべきです。
念のため法務局でこの土地上に登記されている建物があるかどうか確認すべきです。
滅失登記は土地家屋調査士に依頼します。しかし、他人(相続人の名義では無い)の建物の滅失ですので、法務局もかなり慎重になります。

実務的には、法務局は建物登記名義人に郵便を送ります。これがあて所(あて名)不明で帰ってくれば、とりあえず登記簿上の住所に登記名義人(前所有者)がいないという事になります。
又相続した土地に実際建物が建っていない確認もします。このケースは前所有者の住所が法務局が訪問できる範囲エリアだったので、実際に謄本上の住所地に行かれたようです。

私も前所有者の住所地に行きましたが、完全な空き家というより数ヶ月に1度帰ってくるようにも感じました。郵便物はありませんでした。
非常に微妙な感じでしたので、法務局もかなり時間を掛けたのだと思われます。土地だけ売買契約して新所有者に名義変更後、何かの機会に全然知らない人の建物が謄本上存在する事がわかれば、何らかのトラブルになっていたと思われます。

建物が建っているのに未登記という建物もありますが、逆に建物を解体したのに滅失登記がされていない土地を、土地のみ購入した(今回の被相続人のケース)という場合もあります。

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