相談事例(空き地・事前対策)

相談者:被相続人の配偶者(相談時相続未発生)

相談内容

相談者の配偶者は高齢で病院通いをしていましたが、見る限りはまだまだお元気そうでした。
しかし、相談者は認知症の気配が若干感じられると言われていました。
今ならまだ意思疎通も何とか可能。
資産家だがほとんどが不動産。ほとんど不動産とはいえ好立地な土地も数カ所ある。面積もそれなりの広さがあり、相続発生となれば確実に相続税が発生する。

現金・有価証券はそれほど多くなく、相続が発生すれば、不動産を売却して相続税にあてなければならない。
名義は自宅を含めすべて相談者の配偶者。
相談者以外の相続人子供二人はそれぞれ別々に住んでいる。
相談者は配偶者が認知症になるのが心配であり、子供さんの一人(次男)にすぐにでも現金をあげたいという事情もありました。

認知症になる前に何とかしたいという思いがありました。
とにかく急ぐ必要がありましたので、資産(不動産)の中で売りやすい土地(早く売却できる土地)から売りましょうという話をし、相談者も納得されました。

売土地として早々に販売活動を開始しました。
立地と価格からこの土地ならこの建築業者がお客様を持っているだろうと目星を付けた業者に土地情報をお持ちしました。
地価は下落していましたが、立地が良くほぼ購入時の価格でその建築業者に早期客付けをして頂きました。
まとまった現金を手にした数カ月後に相談者の配偶者は容態急変でお亡くなりになられ、被相続人となりました。
事業も営んでいた方でしたので、会社の顧問税理士さんがおられ、私は不動産の販売のみさせて頂き、後の事はお任せしました。

事情があり、私が他の不動産の処分に関わる事が出来なくなりましたので、その後の詳しい事は分かりませんが、不動産を随時売却された事は、風の便りで聞きました。

ポイント

2,500万円まで贈与税がかからない相続時精算課税制度を利用して次男さんに売却代金を贈与されたのかもしれませんが、売却後数カ月で被相続人となられていますので、通常相続税の課税対象となり、相続税対策にはならなかったと思われます。

しかし、被相続人は自分の思いが叶ったと思われて亡くなられたはずです。
自分が被相続人にいつなるか分かりません。相続税対策に早すぎるという事はありません。
相続税回避のために制定されたのが贈与税です。相続税より贈与税の方が税金が多くかかる仕組みになっています。
しかし、110万円しか基礎控除がない贈与税も、三人の子供に16年間毎年110万円ずつ贈与すれば、贈与開始から20年後に亡くなられた場合、1億円の財産も相続税及び贈与税ともゼロ円です。
留意点も多々ありますが、長い期間で行う生前贈与は効果大でもあります。

資産がたくさんある場合は、いつ贈与するかを十分考えたうえでされる生前贈与は、有効な相続税対策になります。

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