相談事例(現住居処分・贈与による事前対策)

相談者:被相続人(相談時相続未発生)

相談内容

86歳のお母様が、亡くなられた配偶者の自宅(新築時から同居)を相続されてお一人で住まわれていました。自分一人での生活は健康面等不安があるので、自宅を売却して老人ホームに入居されたいとの相談でした。

建物は築40年近く経っていましたが、そこそこ立地条件は良く、ほぼ希望値で売却できました。居住用財産の3,000万円特別控除で譲渡所得の税額は、控除されました。お母様は次男と孫(亡くなった長男の子供三人)に自分が元気なうちに売却益の一部をあげたいという気持ちがありました。

もともとある程度現金をお持ちの方でしたので、当時はまだ出始めだったサ高住に入居されました。次男さんは県外にお住まいでしたが自宅売却時には帰省して頂き、契約にも立会って頂きました。問題は長男の子供三人ですが、離婚して奥様と子供三人が自宅(当初同居していた)を出て行った後に、長男は亡くなっています。元奥様は、今どこに住んでいるかも分からないとの事でした。

勿論相続が発生しているわけではありませんから、お母様の次男と離婚した長男の子供(お母様の孫)で、お金を分ける必要はまだありません。
お母様は、自分が亡くなった後で、次男と孫達が争族をする可能性があると考えていました。一般的に考えてもそうなる可能性は大です。今ある程度の贈与を今後相続人になるであろう子供と孫にしておきたいと考えました。そして、次男と孫達と話ができるのも自分だけという思いもありました。
結果的には次男と孫三人に相応の現金を贈与した事を、後日入居されているサ高住でお聞きしました。

ポイント

離婚した長男の元奥様がどこにおられるかは全く分かりませんでした。元奥様の妹さんの勤務先だけはお母様が覚えておられましたので、そこに出向き要件を伝え、元奥様と連絡を取っても良いかを確認頂きました。連絡許可となり私がお母様の代理人として元奥様とお会いしました。

お母様がお孫さん三人に幾許かの現金を贈与したい旨、お話しました。振込口座をお教え頂きお母様にお届けしました。お母様がお亡くなりになれば、同じ四人が相続人となります。

その場合、初めて四人が会われるのと、今回の贈与があった事の後で会われるのでは、相続の進み方も随分変わると思います。今回の様に、贈与する機会があれば、相続前に贈与してワンクッションおかれるのも、実際に起こった時の相続を少しスムーズにする事前対策にもなったかなと思いました。

私自身どこまで自分がかかわっても良いのか分かりませんし、どこから様々な士業法に抵触するのか分かりませんでした。
ただお母様が自分が元気で、多少なりとも金銭的余裕があるうちに、子供と孫に、平等の愛情表現として金銭贈与をされたいという気持ちだけは、分かりました。

あれから約10年経ちました。まだ相続が発生していない事を祈るばかりです。たまにお母様のお顔が目に浮かんできます。

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